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zoom RSS 『木下晋展 −生命の旅路−』 その人に逢う

<<   作成日時 : 2014/04/29 22:21   >>

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 沖縄県立美術館で開催中の 『 木下 晋展 −生命の旅路− 』 のメインギャラリーを席巻していたのは、表現の変革を重ねて到達した 鉛筆画のモノクロームの世界でした。


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 ホワイトキューブのギャラリーに 鉛筆の濃淡だけで描かれたモノクロームの作品。
 なのに、何かが満ち満ちている空間です、、  と 感じたのは、二度目に足を運んだ時でした。

 一度目の観覧では、思わず 目をそらしたり、目を細めて 遠目に観てしまったり、驚きが先に立って しっかりと鑑賞が出来なかったものです。




 ここに描かれている方々は、主に、最後の瞽女(ごぜ)といわれた 小林ハルさん という女性。
 そして、元ハンセン病患者で詩人の 桜井哲夫さん。




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                 ≪100年の想い≫


 背を丸めて少しうつむいた 100才の ハルさんの姿。

 私は、たとえば 人で溢れた通りで、この方とすれ違っただけでも すぐに 小林ハルさん と 気付くことでしょう。
 それほど、小林ハルさん その人がここにいらっしゃるようなのです・・ 平面の肖像ではなく。





 元ハンセン病患者の 桜井哲夫さん の姿を拝見しました。
 自然と涙がこぼれてきて仕方ありませんでした。


 同情心などでは まったくなく、 私は ただ、このまま 桜井さんに向かい合っていていいのか、見つめていていいのか よく分からなくて、 初めてこの場所でお会いした 桜井哲夫さんに何と申し上げていいのか 言葉が見つからなくて、 無意識のうちに涙がこぼれていたようです。


 鉛筆画の作品として 額に納まる この方に対して、 「何と申し上げてよいのか・・」 確かに、そう思いました。
 それほど、やはり 平面の肖像ではない 桜井哲夫さん その人に対峙するようでした。


 そしてそれは、画家 木下晋さんの目指すものと知りました。





 ギャラリーの壁面に、浮かび上がるように画家の言葉が記されています。


 ・・・・私はモデルを描くとき、たとえ、悪条件下であっても モデルの存在感に等身大でなければならないと考えている。


 ・・・・絵を描くというより、モデルの人生談を聞き、その世界を知ることこそ大事なのである。 寧ろ、絵を描くことなど 二の次で、極端に言えば描かなくてもよいのだ。





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                   ≪合掌図≫



 母親を描いた 3点の立像 が 並んで掲げられていました。
 年老いて 深い皺を刻んだ 母親の姿です。

 貧困からの現実逃避なのか、 木下晋さんが小さい頃から 家出と放浪を繰り返し、一家を離散に追いやった母親。
 子供の頃 お母さんと暮した、と いう記憶がないそうです。



 憎しみも覚え 深い確執もあったろう そこに描かれた母親は、まるで、ギリシャ神話に登場する 三美神 のように 崇高な姿に見えてなりませんでした。


 木下晋さんは どんな思いを抱きながら お母さんを描き上げたんだろう。
 お母さんは、もしかしたら 画家にとっての ミューズとなったのでしょうか・・・

 私は、この3作品に向かい合ったとき、自然と口元がほころびました。




 木下晋さんが ≪神に選ばれた人たち≫ と表現した、心に深い闇と孤独を抱えた方々が描かれています、、  自身の母親も また同じ。

 それでも、何かが満ち満ちて 温もりさえ感じるギャラリーだと思えたのは 2度目の観覧の時でした。


 作家の想いや モデルとなった方々の人生が、観るたびに深みをみせて 感動がキチンと自分に還ってくるような、そんな展覧会でした。



 参考: 沖縄県立美術館企画展 図録 『木下晋展 生命の旅路』

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「木下晋展〜生命の旅路」
 旅先では時間の許す限り、必ず現地の博物館や美術館を訪ねることにしている。今回の沖縄では、宿泊先のホテルから徒歩圏にある沖縄県立美術館で明日6日(火まで)開催予定の「木下晋展〜生命の旅路」を見て来た。 ...続きを見る
はなこのアンテナ@無知の知
2014/05/05 20:29

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして。私もこの展覧会にはいたく感銘を受けました。対象への真摯な眼差しに心打たれます。
はなこのアンテナのはなこ
2014/05/05 20:32
はなこのアンテナのはなこさん
コメントをありがとうございました。
木下晋さんは、確か、描きたいと思う方にしかモデルを依頼せず、又、モデルにはポーズの注文をしない作家と紹介されてましたね。
だから、その人の本質を描き出せるんでしょうね。
パライバ
2014/05/06 16:38

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