伎芸天が迎える 秋篠寺

 五月晴れのもと、奈良の古寺を巡ったことが いつの間にか遠い日になってしまいました。
 あの日、いちばん最後に訪れたのが 「秋篠寺」
 美しい響きをもつ寺の名前と、その名が 宮家に付けられた由来も気になって、いつか 訪ねたいと思っていました。



画像




 最寄りの 平城駅を降りて、田んぼと畑を通り抜けるようにたどり着いた小さな古寺は、楚々として まるで 女人高野の趣きです。


画像



 境内を取り囲む塀さえ 優しさに満ちているようでした。
 東門を くぐって参道を進みます。


画像



画像



 ひとりが似あう、そんな お寺です。



画像


 苔庭が光を放って 翡翠を散りばめたようです。
 かつて ここには金堂が建っていました。




 本堂が見えてきました。


画像



 取り囲む雑木林と 白い敷石と 国宝 「本堂」 これ以上ないほど簡素な空間はいっそう静けさを誘います。


画像


 この本堂に 伎芸天が安置されています。



 中央の薬師如来を守るように立つ仏像群のなかに 伎芸天は立っていました。



画像



 重要文化財 伎芸天立像
 205.6cm 

 頭部は奈良時代の脱活乾漆造、 体部は鎌倉時代の木造 とあるものの、まったく違和感を感じない美しい調和で、リラックスしたような立ち姿に 女性らしさを匂い立たせるものですから 魅入ってしまいます。

 ほころんだ口元に 小さな歯がのぞいていたように思うのです・・・
 技芸に秀でた仏様です、謡っているお姿かもしれないですね。

 「伎芸天」 とよばれる仏像は 日本に この一体だけだそうです。



 もともと、このあたり一帯の領主であった 秋篠氏の氏寺だったとされている 秋篠寺ですが、その歴史は まだまだ解明されていない部分も多いようです。

 皇室に新宮家が誕生するとき、宮家のお名前は 必ず 奈良の地名から選ばれます。
 秋篠宮様は 小さな古寺がある この秋篠町を 選ばれました。

 


 この日 一日中、いにしえの風に巻かれるように 奈良の古寺を巡りました。
 この先も、いつ訪れても、変わらず この場所で迎えてくれることの凄さに、安心感と満足感と どっぷりの心地いい疲労感をかかえて近鉄電車に乗り込みました。
 

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック