本物とレプリカ、そして模造復元品
ふたつ並んだ 《 擬宝珠形丁子風炉 》 どちらかがオリジナルで、どちらかが 復元された資料です。
ちなみに 「 丁子風炉 」とは、下部の炉に炭を入れて熱し、窯の部分に水を張って 浮かべた 丁子(グローブ)の香りを楽しむための陶芸品です。
どちらが本物か・・
分かりやすくは、本物は 蓋の一部分が欠損しています。
模造復元品のつまみは、調査研究に基づき 付け加えられました。
加えて この模造復元品は、可能な限り 原資料(本物)が作られた当時と同じ材料と技法で製作されました。
沖縄県立博物館で開催された 「 手わざ 琉球王国の文化 」展 は、明治以降の近代化や 先の大戦で失われた 多くの王国文化遺産を、現代沖縄の手わざの力を結集して蘇らせるという、7年にわたる長期プロジェクトの成果を公開しました。
最新の調査研究をもとに、専門家、研究者、製作者など、県内外の多くの人材が関わりました。
絵画
木彫
石彫
漆芸
染織
陶芸
金工
三線
製作された当時のままに、鮮やかに蘇った伝統工芸品の数々には目を見張ります。
《 苧麻桃色地経緯絣衣装 》
ピンクの着物の この艶やかさ・・
桃色は 「花染め」と呼ばれ、ベニバナの花びらを揉み出した染液で染められています。
ところで、模造復元品とレプリカは、材料と製作技法で分別されます。
たとえば 《 聞得大君御殿雲龍黄金簪 》
レプリカは、原資料を型取りして 樹脂で形成し、金箔をはって 経年の汚れなどは絵の具で表現します。
一見、現存する本物と見紛うほどですが 材料も技法も違います。
模造復元品は、可能な限り 製作当時と同じ材料、技法で作られます。
経年の変化は表現しないので 当時の輝きが蘇りました。 学術的な意味も 大変 大きいものです。
《 旧円覚寺 仁王像 》も このプロジェクトに含まれています。
未完成のため 今回は 写真パネルでの展示でしたが、製作までのプロセスは、過去にアップした「 なんてカッコいい 旧円覚寺仁王像 」 2019年3月11日 をご覧になってみて下さい m(__)m
これらの模造復元品は いわば 本物です。
このプロジェクトで蓄積された情報と成果は、沖縄の文化遺産を未来に繋げます。
この展覧会は、令和2年度から 3年度にかけて、県内外を巡回すると聞きました。
機会があれば、是非、鑑賞をして頂きたいものと思っています。
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