止められない・・


 初めて 宮部みゆきの著書を読んだのは 20年以上も前のこと。
 今までに読んだことのない女流作家の作品を購入しようと、事前に調べて書店に赴きました。

 ところが、間違えて購入してしまったのが 、宮部みゆき『 魔術はささやく 』 でした。

 あれ? あらすじが違う (?_?) と 気づいた時には もう、作品にどっぷりとハマって虜になっていたものです。


 それからは 宮部みゆきひとすじ。

 あらすじの好みにこだわらず、宮部作品はすべて網羅しようと 手あたり次第に読みだして 今に至っています。
 ( 時代物の作品も多いのですが、現代ミステリーが いいな )

 今までに いちばん印象深い作品は? と 聞かれたら、迷わず 『 火車 』 と。


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 1992年に発行された この作品は、大きな社会問題であった 消費者金融の在り方を下地にしています。

( あらすじには触れないでおきます。ミステリーの本筋と解決に向けて、じわじわと距離を縮めていく過程は、まるで 自分も 登場人物の刑事と一緒に 解き明かしている気分になってしまうのです。 書き出しから ミステリー全開なので。)


 『 火車 』 は その年の直木賞候補に挙げられますが 落選しています。
 その理由として、作品の締め方にあったと聞き覚えています。


 「 あの締め方だったからこそ、何年経っても 読者の心を掴んで離さないのに! 」
 「 最後は、読者の眼前に くっきりと映像が広がるほどの描写で、宮部みゆきのキャパシティの広さの表れなのに!」
 「 高齢の重鎮作家が 新しい作風についていけなかっただけかも! 」 

 好き過ぎて、今でも 納得できない結果です。



 この度の家籠りで 、過去にドラマ化されたため 読んでいなかった 『 ペテロの葬列 』 と 次作の『 希望荘 』 を読みました。
 単行本で 5作が出版されている 《 杉村三郎シリーズ 》のうちの2作品です。


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 どの作品にもいえるのですが、宮部作品の特徴のひとつは、すべての登場人物に愛を注いでいるのが伝わってくるところでしょうか?!
 被害者はもちろん、加害者であっても・・

 だから 読後の後味が良くて、その世界から離れがたくて、しばらく じっと 本を抱えて浸っていたくなります。
 ミステリー作品なのに 珍しい読後感を与えてくれます。


 登場人物からも離れがたい・・ だからなのかな? 宮部作品はシリーズ物も多いのは。
 《 杉村三郎シリーズ 》 も そんな作品です。


 一サラリーマン( 恋愛結婚した妻は財閥の娘で、心ならずも 特殊な家庭環境にあるけれど )である杉村三郎が、自身に降り掛かる問題に 真摯に取り組む様と、彼を取り囲む人々との関わりも含めて、ミステリーなのに、登場人物の悩みも痛みも溢れているのに、文体には癒やしさえ感じます。 どんな結果になったとしても。

 この愛すべき 杉村三郎さんからは 宮部さんも離れがたかったのか、4作品目からは 、彼に 新たな生活のスタートを踏ませて、読者を また 素敵な杉村三郎さんに逢わせてくれます。 


 家籠り中は そばに いつも宮部みゆきの小説がありました。 まだ しばらく、どっぷりと浸ります。
 宮部みゆきは やめられない・・



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